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月曜の朝が来た。
いつもどおり0530(I)、村山は起床する。
階級には序列というものが存在し、当然それが最低級に位置づけられる空士には、
毎日の仕事として『鍵開け』というものが課せられる。
理由は朝早く出勤する上官のため。

0550(I)、上官が来た。
そんなに早く来る必要はない。
『朝は道路が混むから。だから早く来る』
それがその人の早く来る理由。
そんな個人的な都合のためにも鍵開けはやらねばならない。

でも、『道路が混むから』という個人的な理由で早く来る上官でも、
自分より早くにきて、早朝の寒さにブルブル震えながら鍵の開錠を待つ姿を見ることを、
村山は良しとしなかった。


ほとんどの部隊には空士は何人もいて、そういうところは朝の早出は当番制になっている。
しかし村山の部隊は、ベテランの搭乗員しか集まらない場所だった。
したがって村山は4年目でもやはり最低級に位置づけられた。
だから毎日早出。毎日鍵を開け、毎日コーヒーを作り、毎日機械の電源を入れる。

その後起床ラッパが鳴る。
0600(I)、そろそろみんな起きるころかな。



空士は・・・一人だけだった。


どれだけさびしさを感じただろうか。
食堂で、他の部隊の空士連中が楽しそうに談笑している。
その光景は、村山には自分の経験にして得られることはない。

自分以外に空士は『いない』ので。



しかしたった一人の空士は先輩連中にはすごくかわいがられた。

筆者にはわからない。
村山は特別仕事ができるわけでもないし、気が利くようなタイプでもない。
しいて言えばちょっと勉強はデキる。
もっといえば英語は知っている。
しかしそれらは村山が好かれる理由ではないと、筆者は思う。

とにかくなぜか知らないが、隊員には愛されていた。
将軍からも。
中山曹長からも。


あのブログが発覚するまでは。



0700(I)、片岡3曹が出勤してきた。
村山の直属の上官である。

『本日以降、この仕事にはつけなくなりました。申し訳ありません』
部下は言った。
でも本当はこう言いたかった。
『もう・・・私が飛行指揮所に立つことは一切ありません』

片岡は黙ってうなずいた。
部下の配置特技が剥奪されたことを、彼はもう知っていた。
※航空自衛隊では職種のことを『配置特技』という。

部下にはもう一人、上官がいる。
鬼島1曹

村山の自衛隊生活は、鬼島抜きには語れない。
しかし鬼島は、何時になっても姿を見せなかった。


仕事はない。
村山は待機室でただ、ぼーっと窓の外を眺めるだけ。
そのうち中山曹長が呼びに来るのを待っている。







『お~いむらやん!!どうしたんだ。
 何かあったのか?元気ないぞ!!』

航空士の花田2曹が村山の肩をたたいた。

『さあさあみなさん今日もジュージャンやりますかァー!!
 むらやんが元気ないからジュージャンやりますかァー!!』


『むらやん何やったんだ?今度はまた何やらかしたんだ。
 まあとにかくジュージャンで元気出せよ!』


自衛隊の常識『ジュースじゃんけん』である。
やさしい先輩だなー、まだ誰も事情を知らないんだな。

「まったく・・・また今日もやるんですか?いつも言いだしっぺが負けるんだから。
ぼく負けるつもりないですよ~」
村山は応じた。



そう、一部の人間を除いてはまだ誰も知らない。

一部の人間を除けば。




0840(I)、中山曹長が来た。反省文を読んだらしい。



空士長は覚悟した。
これから壮絶な洗脳の日々が始まる。

『俺は絶対屈伏しない』

村山は・・・やはり頑固だった。
                     ~エンペラー面接へつづく~

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