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岐阜基地の16人部屋から防府南基地に移され、内村や井元と同じ部屋に住むことになって1週間。
一体どんな理由からなのかは知らないが、外出は1カ月は禁止されていた。
単独行動主義の私は外出時ぐらいは自由にしたいと思っていたが、外出・食事・風呂・BXどこへ行くにも団体行動でとにかく疲れていた。
ましてや海自出身の意味のわからぬ新兵が仕切っている班だ。
いつも内村と井元のペース。皆なぜだか彼らを先輩のように見て、彼らの言うとおりに班行動していた。

夜は就寝ラッパが鳴っても、深夜まで延々と続く海自の自慢話。
航海手当で200万貯めただとか、戦闘訓練でロケット花火を使っただとかウソ八百でかつしょうもない自慢話を毎日するわけだ。
私も中高生じゃないので我慢して黙って聞いてやったが、それも1週間続くとイヤになってくる。
アホやろこいつら。
はよ寝たいねん黙って寝ろや。

くだらん所だな。自分の時間もないし部屋もない。
地連のおっさんの話なんてウソばっかりだ。
『辞めたくなったらいつでも言え』班長の言葉を思い出した。

ならそうするよ。
早くも私は脱出を考えた。
思いついたら直ちに実行!それが私のスタイルなので
私は親に電話をした。自衛隊を辞めるには親の了承がいるからだ。

「集団生活イヤやし辞める」

親はどう思っただろうか。
『また辞めるの?もう辞めるの?』
ダメな息子だな―…。あきれ果てていたのかもしれない

けれども私は集団生活が耐えられなかったし、そんな毎日がバカバカしかった。


なぜだろう
それまで私は学生時代4年間滋賀を離れて一人暮らしをしていたわけだが一度も家に戻りたいなんて思わなかった。
なのにその時の私はいわゆる「ホームシック」にかかっていたようだ。はじめての。

家で留守番してるミルク、大丈夫かな
家に置いてきたバイク、大丈夫かな バッテリーつないだままや
結局どこに飛ばされるかわからんねんて
はよ帰ったら?


そんなことを考えていたように、思う。今でも当時の正確な気持ちや考えは思い出せない。
ただ、それは「逃げ」以外の何物でもないことは分かっていた。その時。


母は憤怒した。
『だから反対したやろ!反対押し切って行ったのはあんたやんか!』
それはあんたから逃げるため。

『自分で決めたんやろ!』
そうや。でも実際行ってみたらこんな所。しゃあないやろ。


とにかく私は基地から脱出する日を早めるために、行動そして動作を急いだ。
班長に申し出た。

辞めたいです
基地から出してください 部屋から出してください もうこんな生活イヤです


班長は『そうか…ちょっと部屋で待機しとけ』
と言うので私はその日訓練から外され、1時間ほどボーッと窓の外を見つめていた。
外では皆が教練に励んでいた。
敬礼!直れ!敬礼!!直れ!!
回れ―右!!回れ―ッ右!!!
アホらしい。はよ帰りたい。

その時電話がかかってきた。
それはさきほどのキレた母…だったが途中ヒートアップし過ぎて高血圧で倒れそうになったらしく、電話の中盤で声の主は父に代わった。
選手交代である(笑)。

しかしそのときの父の言葉は、いまでも忘れることはできないし
それがその後の私の人生に大きな影響を与えたことはまちがいない。




お前ちょっと合わんからってまた辞めるんか!!
1週間ちょっといたぐらいでおめおめ帰ってくる気か!!!
もう情っけないでしゃあないわ 自分で決めて入ったんやろ
帰ってくんな!!!



帰ってくるな…か。
私はショックを受けた。
親に帰ってるなと言われたことが…ではなく
あの父がそんなことを言うとは意外すぎたからだ。
いつも口数のすくない寡黙な父。
言うべきことを言えない父。
来来亭で持ち帰りラーメン5人前を注文したところ、麺が5人前とも入っていなかったのに店に苦情を言えず自分で麺だけ買って食べようとした父。
祖父が祖母を虐待しているが、それを止めろとも言えず結局祖母が自殺未遂をしたなのにいまだに祖父の虐待を食い止められない父。
長男の奨学金を次男が支払っているのに、長男を叱ることが出来ない父。

そ・ん・な・父が!!!

普段何も言わない人が突然言う言葉というのは、本当に重みがある。

私は目を覚ました。

これではいけない
自分で決めたんだからせめてこの4か月ぐらいは、我慢しよう
このまま帰るなんて確かにカッコ悪い
頑張るか…。

たぶん父が怒鳴らなかったら私はずっとダメ人間のままだっただろう
だからあの時の父親には本当に感謝している









だけど兄の奨学金を私が払い続けるということに対してはやはり納得がいかない(笑)
俺には言えても、あのバカ長男には何も言えんのか?!
しっかりしてくれよー父さん…。
マジでキツイ。やりすぎや。

                    ~第7話に続く~
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